ずーなまの徒然日記

主に釣りや自転車などの趣味について書いていこうと思います!! たまに、言いたくなった出来事も書きたいです‼

谷原

近年、台風や雨雲前線によって全国的に大雨が記録され、生活への影響が問題となっています。最近では、「平成30年7月豪雨」が発生し、227名の尊い命と10名の行方不明者が出ています。また農地への被害も深刻で、流木や土砂などが水路や田畑に流れ込んだことによって埋まってしまったり、侵食されたことで農作物等の被害は14,939ヘクタール、家畜は35,985頭羽、農業用機械55億6000万円の被害となり、その他の農業用施設や農地の被害は606億円以上あり、農業への被害は660億円の被害が確認されているだけで無く、果樹類や被害の確認が取れていない地域もあります。また復旧の目処が立たず、今年の作付けが出来ない農家が存在しています。農業高校を経て農業大学校で栽培技術や活用法を学び、作物を育てる楽しさや重要性を知った私は、この被害を知った時、胸が締め付けられる思いでした。私の家も関東東北豪雨の被害を受けたため、このことは他人事ではありません。目の前の道路に水が勢いよく押し寄せてくるあの日の光景は、今でも脳裏に焼き付いています。この災害に遭遇し、実際の被災者となったことで「何か今の私に出来ることはないだろうか」と考えるきっかけになりました。

そんな時、私は大学で受講したことを思い出しました。その講義では、学校では体験出来ない内容の講義を受けることがで来ました。その中でも、もっとも印象に残っているのが大学の演習林で目にした人工林の様子です。森林土壌は、小さな隙間を多く有しており、スポンジの様になっているため水が浸透しやすくなっていました。

我が国の山地は一般に急勾配ですが、森林に降った雨は、いったん隙間に蓄えられ、ゆっくり時間をかけて川へ送り出されます。

すなわち、森林には、森林がない場合に比べ、山地斜面に降った雨が河川に流出するまでの時間を遅らせる作用があり、例えば、晴天が続いても、渓流の水がすぐに枯れることがないのは、こうした森林土壌の機能が貢献しているものと考えられます。

このように、降った雨が、森林があることによって、一気に海へ流れ下ることなく、時間をかけて川へ送り出されることにより、安定な河川流量が得られ、利用できる水量が増えることから、このような森林の働きは、水資源の貯留機能と呼ばれています。

なお、森林自身も生きていく上で土壌中の水分を必要としますから、雨の降らない日が長く続くと、地域や年降水量にもよるものの、森林がある場合とない場合とでは、ある場合の方が森林の樹冠部の蒸発散作用により、河川流量が減少する場合もあります。


森林土壌に浸透した雨は、様々な径路をたどって川にゆっくりと流れ出ていくことから、降雨時における川の流量のピーク時の降雨に伴って川の水かさが増していったときの最大値を低下させたり、ピークの発生を遅らせるなどの働きがあります。

これらは洪水の緩和機能と呼ばれ、特に、中小規模の洪水の場合に発揮されると考えられています。 手入れが行き届いている森林は、土も肥沃で生物相や保水力も高く、樹木の根がしっかりと張っているため、倒伏や表土の流出を防ぐという説明を受けました。「これなのかもしれない」それまで、森林の機能といえば、地球温暖化防止や光合成、生物多様性の保全、キノコなどの食用林産物の提供などの知識しかありませんでした。この機能を持った森林を増やせれば、防災対策の手立てになるのではないか、と思うようになりました。そこで、森林の機能を活用し、防災につなげるにはどうしたら良いのか、考えてみることにしました。

まず、今ある森林を管理する事だと思います。現状は、人間の手で管理されて最大限に機能を高めた森林ばかりではないようです。やはり、人材不足や経費の問題から管理が行き届かない森林が多く存在しています。管理が行き届かないと、密植で木は細くなり、土壌も貧弱で保水力が低下します。すると、倒伏や土砂崩れが起きてしまいます。まずは、このような森林に手を加えることが重要であり、手付かずの森林にこそ「ボランティア」の受け入れが有効だと思います。栃木県でも荒廃した奥山林や身近な里山林の整備や森林ボランティアへの支援を行っています。私もこのような支援策を活用し、高校生や市民に呼びかけて参加出来る機会を増やし、少しでも森林機能の改善につなげたいです。

次に森林を復活させることです。森林を失った理由には自然災害だけでなく人災により失われた緑もあるのです。私は、足尾の植樹活動に参加しました。足尾の山は煙害によって山の緑を失い、風雨によって侵食された石や岩に覆われた貧弱な土壌になっています。このような山に、雨が降っても雨水は地表面を流れ、直接河川に流れ込み、豪雨の際には災害も起こりうるのです。緑を取り戻すだけでなく、土壌の流出防止、保水力の向上などの機能を高め、災害を防ぐ上でも植樹は大切なことだと思いました。今までに苗木が植えられた山肌は、少しずつ緑に変わり、山としての成長の様子が見えていました。植樹活動に参加して、森の育つ様子を自分の目で確かめていきたいです。

そして、森林の働きについて多くの人々に知ってもらうことです。森林の働きをアピールできないかと考えたのが、子供達への「森林体験ツアー」です。森林を歩きながら樹木の種類やそこに生息している生物の説明、きのみなどを使っての工作体験、キノコの原木栽培などを実施し楽しみながら関心を持ってもらうのです。その中でしんりんの土に触れながら、落ち葉や下草による表土の流出防止や雨水の調節による洪水、渇水防止などの様々な森林機能が、水害をはじめとする多くの災害を防いでいることも伝えていきたい。そして、子供達が山や森林に興味を持つことで、周りの大人たちにも考える場を提供し、一緒に理解を深めたい、と考えています。

また、水害を防ぐ手段として「田んぼダム」が有効だと考えています。 田んぼダムは、水田の排水管の直径より小さい穴を開けた調整板などを設置することで、水田に降った雨水を一時的に貯留し、時間をかけて少しずつ排水路に排水する施設です。これによって、排水路への排出が抑制され、排水路に掛かる負担を軽減できるとともに、田んぼダムの下流地域において排水路からの越水による被害を軽減できます。

田んぼダムのメリットは、現在設置してある排水口を大規模に改造する必要がなく、水田から農業用排水路に流す流量の精度管理についても必要としないことです。面的に広がる水田の排水口に調節版を設置し、水田からの排水を人為的に抑制することで大きな効果が期待できます。また、設置する工作物に掛かる材料費も安いことから、小さな費用で設置が可能であり、簡単に設置できるということで高い即効性が得られるだけでなく、その周辺地域の財産や命を守ることにもつながります。


私はー、豪雨による水害で自然の脅威を感じました。しかし、自然が災害を抑制する作用を持っている事も認識できました。今の私には出来る事が限られています。しかし、何もしなければ前には進めないのです。あの日、被害を受けた多くの人々の辛さを忘れず、自然の力を利用する事で、災害から私たちの生活と農業を守っていきたいです。